先進的窓リノベ事業2025スタートがしました!
【実証実験】ハウスメーカー断熱性能比較!一条工務店・三井ホーム・住友林業の保温力を検証
目次
1. 実験の目的:ハウスメーカーの断熱性能を公平に比較する
これまで私は各ハウスメーカーが公表する断熱材の素材や厚みをもとに断熱性能をパラメーター化してきました。しかし、「暖かい・寒い」という体感は個人差があり、実際にどのくらい違うのかを正確にお伝えできていないと感じていました。
そこで今回は、各ハウスメーカーの断熱材と厚みを実物大で再現した実験ボックスを製作。同じ条件で熱源を入れ、温度変化を測定することで、実際の断熱性能の違いを検証します。
2. 今回比較するハウスメーカー
今回の実験で比較するのは以下のハウスメーカーです:
- 一条工務店
- 三井ホーム
- 住友林業
さらに、住友林業と断熱性能が近いとされる以下の2社についても参考データとして紹介します:
- 積水ハウス
- アイダホーム
3. 実験方法:リアルな断熱構造を再現した実験ボックス
3.1 実験装置の製作
今回の実験のために、各ハウスメーカーの断熱仕様を忠実に再現した実験ボックスを製作しました。サイズは大人が1人入れる程度のボックスで、それぞれのハウスメーカーが採用している断熱材と同じ素材・厚みで壁・床・天井を構成しています。
施工品質による影響を排除するため、実験ボックスは専門の大工さんに依頼して製作しました。
3.2 各社の断熱材と厚み
一条工務店の断熱材と厚み - 天井:高性能ウレタンフォーム 235mm - 壁:高性能ウレタンフォーム 190mm - 床:高性能ウレタンフォーム 140mm
三井ホームの断熱材と厚み - 天井:EPS 160mm - 壁:ロックウール 140mm - 床:ビーズ法ポリスチレンフォーム 80mm
住友林業の断熱材と厚み - 天井:高性能グラスウール24K 210mm - 壁:高性能グラスウール24K 105mm - 床:押出法ポリスチレンフォーム 100mm
※住友林業については、今回の実験では高性能グラスウール16Kを採用し、天井厚120mm、壁厚110mmとしています。各断熱材の熱伝導率は16Kが0.038、24Kが0.036となっています。
積水ハウス鉄骨の断熱材と厚み(参考) - 天井:高性能グラスウール16K 100mm - 壁:高性能グラスウール16K 100mm - 床:押出法ポリスチレンフォーム 80mm
アイダホーム鉄骨ニットフレーム工法の断熱材と厚み(参考) - 天井:高性能グラスウール16K 210mm - 壁:高性能グラスウール16K 100mm - 床:高性能ウレタンフォーム 35mm
4. 実験内容:同条件での保温力測定
実験は以下の手順で行いました:
- 各実験ボックス内に温度計を設置(高さ1mの位置に統一)
- 温度測定器を3つ用意し、モニターでチャンネルを切り替えて各温度を確認できるようにセットアップ
- 各ボックスに同じ数(19個ずつ)の同一メーカー・種類のホッカイロ(桐灰のマグマ)を設置
- 外気温の影響を最小限にするため、曇りの日を選んで実験を実施
- 温度変化を定期的に測定・記録
温度計の精度を確保するため、複数の温度計で相互確認を行いました。また、ドアの開閉による熱の逃げを防ぐため、モニターで遠隔測定できるようにしています。
5. 実験結果:各ハウスメーカーの保温力比較
5.1 実験開始時の初期温度
- 外気温:9.0℃
- 一条工務店:7.05℃
- 三井ホーム:6.8℃
- 住友林業:7.0℃
実験開始から約1時間後(9:15)の温度: - 一条工務店:約12℃ - 三井ホーム:約12℃ - 住友林業:約11℃
実験開始から約2時間後(10:26)の温度: - 一条工務店:約15℃ - 三井ホーム:約16℃ - 住友林業:約15℃
実験開始から約3時間後(11:37)の温度: - 外気温:5.3℃ - 一条工務店:17.6℃ - 三井ホーム:18.7℃ - 住友林業:17.6℃
実験開始から約4時間後(12:03)の温度: - 一条工務店:約19℃ - 三井ホーム:約20℃ - 住友林業:約19℃
実験開始から約5時間後(13:15)の温度: - 一条工務店:約20℃ - 三井ホーム:約21℃ - 住友林業:約20℃
5.2 温度上昇グラフと分析
実験の結果、各社とも時間の経過とともに室温は上昇し続けましたが、興味深いことに三井ホームの実験ボックスが若干高い温度を示す傾向がありました。ただし、その差は1℃程度と小さく、実用上の大きな違いとは言えないかもしれません。
一条工務店と住友林業はほぼ同等の温度推移を示し、実験開始から5時間後の時点では約20℃まで上昇しました。
6. 実験から分かった断熱性能の実態
今回の実験から、以下のことが明らかになりました:
- 各社の断熱性能に大きな差はない:カタログスペックでは断熱材の種類や厚みに違いがありますが、実際の保温力には劇的な差は見られませんでした。
- 三井ホームがわずかに優位:今回の条件下では、三井ホームの実験ボックスが若干高い温度を維持する傾向が見られました。これはEPS(発泡スチロール)の断熱特性が影響している可能性があります。
- 外気温との差:実験終了時点では、外気温が5.3℃だったのに対し、各ボックス内は20℃前後まで上昇。約15℃の温度差を生み出せることが実証されました。
7. 住宅選びで断熱性能をどう考えるべきか
今回の実験結果から、住宅選びにおける断熱性能についての考え方をご提案します:
- 断熱性能だけで選ばない:各社の断熱性能に劇的な差はないため、断熱性能だけで住宅メーカーを選ぶ必要はないかもしれません。
- 総合的な視点で選ぶ:断熱性能に加えて、設計の自由度、デザイン、アフターサービス、コストパフォーマンスなど、総合的に判断することをおすすめします。
- 地域特性を考慮する:お住まいの地域の気候特性に合わせた断熱設計が重要です。寒冷地では床や窓の断熱性能が特に重要になります。
8. まとめ:データに基づいた冷静な住宅選びを
今回の実験では、主要ハウスメーカー3社の断熱性能を実際に測定し、その差が思ったほど大きくないことが分かりました。各メーカーが「うちは暖かい」と主張する根拠はあるものの、実際の違いは1℃程度と小さいのです。
住宅選びでは、断熱性能だけでなく、ライフスタイルに合った間取り、デザイン、予算、アフターサービスなど、多角的な視点で検討することが大切です。
この記事が、データに基づいた冷静な住宅選びの参考になれば幸いです。もし断熱性能や住宅選びについて質問があれば、コメント欄でお気軽にご質問ください。
---